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長妻厚生労働相が8日の日本年金機構設立委員会の会合で、社会保険庁の後継組織として同機構を来年1月に発足させる考えを正式に表明し、同機構に採用されない社保庁職員の雇用問題が顕在化し始めた。
 自公政権が昨年7月末に閣議決定した「日本年金機構の基本計画」には、社保庁時代に懲戒処分を受けた職員は一律に同機構に採用しないことが明記されている。
 懲戒処分者は今年4月現在で社保庁に792人が在籍しているが、再就職先が見つからない場合は、民間の解雇にあたる分限免職となる。
 社会保険庁は8日、社保庁から同機構の正職員として異動する59人に追加内定を出すなど採用審査を発表した。社保庁職員で同機構の正職員の内定が出たのは9673人となったが、それでも「分限免職になりそうな職員は1000人程度いる」(組合関係者)という。
 長妻氏は、分限免職となる可能性のある職員への対応として〈1〉当面は再就職先の確保に全力を挙げる〈2〉一部の職員については年金記録問題に対処する人材確保の観点から同機構で採用する方法を模索する〈3〉免職者が訴訟を起こした場合の対応を検討する――を指示しており、硬軟両様の構えで臨む考えだ。
 長妻氏は今後2年間、年金記録問題の解決を「国家プロジェクト」に位置づけて集中的に取り組むためにも、「社保庁の有能な職員は残したい」と周囲に漏らしている。このため懲戒処分者でも比較的軽微な処分者や年金記録問題の処理に精通している職員については、期限付きの有期雇用職員として同機構に採用できないかどうか模索している。
 政府が国家公務員を100人単位で分限免職にした例は近年なく、民主党の支持団体である連合も分限免職の見直しを再三要求している。
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