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8日告示された参院神奈川、静岡両補選(25日投開票)は、鳩山首相、谷垣自民党総裁共に初陣で、「負けられない戦い」と位置づけている。
 民主圧勝、自民惨敗の衆院選から1か月余りで迎えた両党の直接対決の結果は、国会攻防や双方の選挙戦略にも大きな影響を及ぼすのは必至だ。
 「日本の政治行政を一挙に刷新するため、大きな力をいただきたい」
 民主党の仙谷行政刷新相は8日、横浜市での神奈川補選候補の出陣式で声を張り上げた。
 同党は、補選を「鳩山政権の信任投票」と見なし、「2勝」獲得で政権運営や政権公約(マニフェスト)の実行に一段と弾みをつけたい考えだ。
 同党の小沢幹事長は「2勝が当たり前だ」とげきを飛ばし、首相や閣僚らにも遊説に入るよう求めている。首相も現地入りに向け、日程調整を進めている。
 ただ、民主党と連立与党を組む社民、国民新両党はジレンマも抱えている。
 民主党が2議席を獲得すれば、民主、国民新党などの参院統一会派は過半数(122)まであと2議席、民主党単独(108人)ではあと12議席に迫る。民主党が過半数に近づくと、それだけ「社民、国民新両党と連立を組むメリットが薄れる」というわけだ。
 国民新党の亀井代表は「鳩山政権の政治基盤強化は歓迎だ」と冷静な姿勢を示しているが、民主党内からは「補選は参院単独過半数、連立解消に向けた一里塚になる」(中堅)との声も出ている。
 一方、自民党は8日、大島幹事長が静岡、石破政調会長が神奈川に入り、応援のマイクを握った。石破氏は横浜市で「自民党が再生しないと日本は再生しない」と訴え、補選を党再建をかけた戦いと強調した。
 しかし、今回、自民党は衆院議員不足、業界団体の自民離れ、公明党の中立という「三重苦」を抱える。
 先の衆院選惨敗で、党所属衆院議員は比例復活を含めても、神奈川は6人、静岡は1人しかおらず、「静岡は党本部直轄で対応しなければならない」(党幹部)のが現状だ。
 これまで組織戦を担ってきた業界団体も「反応は鈍い」という。神奈川の歯科医師連盟は「民主党とも話し合える環境を作りたい」(連盟幹部)とし、自民候補だけでなく、民主候補にも推薦を出す方向だ。静岡の農協政治団体は自民の公認決定が遅かったことなどを理由に、自主投票とした。
 谷垣総裁は8日、神奈川、静岡に顔を出さず、都内で開かれた全国農業協同組合中央会の大会に出席し、変わらぬ支援を呼びかけた。
 与党時代は自民支援が常だった公明党も、両補選の自主投票を決めた。自民党内では「負けても谷垣氏の責任を問うのは酷だ」と予防線を張る声も出ている。
(2009年10月9日06時33分  読売新聞)
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